BtoB企業がYouTubeで専門性を伝える方法は、社員の日常を見せる企画だけではありません。すでにある記事資産を動画にする方法と、社外のゲストと組んで知見を見せる方法の2つがあります。この記事では、どちらかの型で公開しているBOXIL CHANNEL・マネーフォワード・freeeの3社の事例と、自社で題材を選ぶときの手順を合わせて紹介します。

検索結果の多くが答えていないこと

「BtoB 企業 YouTube 事例」で検索すると、登録者数の多い企業チャンネルを並べたランキング記事が多く見つかります。ランキングは参考になりますが、自社がどちらの型から始めればよいかまでは分かりません。

この記事で扱うのは、次の2点です。

  1. 公開されているチャンネルが、どちらの型でテーマを選んでいるか
  2. その型を、自社で始めるときにどういう手順で題材を決めるか

専門性を伝える3社の工夫

BOXIL CHANNEL(スマートキャンプ株式会社)

スマートキャンプ株式会社が運営する「BOXIL CHANNEL」は、2020年7月時点では、SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」の資料請求データに基づくトレンド情報や、Withコロナ時代のリモートワークに必要なSaaSプロダクトの紹介を、わかりやすいアニメーション動画で、原則として毎週火曜日と金曜日に配信していました。

テーマを選ぶ基準には優先順位があり、最優先はオウンドメディア「BOXIL Magazine」ですでに成果が出ている記事の検索キーワードです。次に業界の時事ネタ、基礎用語の解説、ビジネス全般のテーマと続きます。自社サービスと関連しないテーマには手を出さない、というルールも決めています。

「5分でわかるバックオフィス」(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードの公式YouTube「5分でわかるバックオフィス by マネーフォワード クラウド」は、2021年1月の発表時点では、「バックオフィスの悩みに、答えを。」をテーマに、中小企業のバックオフィスや、個人事業主・フリーランスの経理業務に役立つコンテンツを配信しており、同月にバックオフィス担当として最前線で活躍する方々をゲストに招く『ゲスト対談企画』を開始したと発表しています。第一弾は株式会社hokanの担当者が出演し、「創業初期は何をやらないかを決めるのが大事」という前編と、未経験でバックオフィスを始めたときの悩みを聞く後編の2部構成です。

スモールビジネスチャンネル(freee株式会社)

freee株式会社の「スモールビジネスチャンネル」は、限られた情報や人脈の中で難しい決断をしているスモールビジネスの経営者に向けて、気づきと決断のヒントを届けることを目的に配信を始めました。有識者や経営者をゲストに招く対談・インタビュー形式で、2020年7月の発表時点では、毎週月曜19時配信・全12本の予定としていました。初回は、飲食店5店舗すべてを閉店した経験を持つ元経営者が、経営判断について語る内容でした。

Fig専門性を伝える3社の工夫
BOXIL CHANNEL
  • 自社メディアの記事を動画化する型
  • 成果の出ている検索キーワードを優先してテーマを選ぶ
  • 2020年7月時点は週2回配信のアニメーション動画
5分でわかるバックオフィス
  • 社外のゲストを招く対談型
  • 現場の実務経験に基づくテーマで構成
  • 前編・後編の2部構成
スモールビジネスチャンネル
  • 経営者・有識者をゲストに招く対談型
  • 2020年7月発表時点は全12本・週1回配信の予定
  • 初回から具体的な経営判断の話で始める

2つの型に共通する考え方

3社の事例から言えるのは、BtoB企業がYouTubeで専門性を伝えるとき、自社の中だけで題材を完結させていない、という点です。

BOXIL CHANNELは、すでに読まれている自社の記事という「社内の資産」を動画の形に変えています。マネーフォワードとfreeeは、社外のゲストという「社内にない視点」を対談の形で取り込んでいます。どちらも、ゼロから企画を考えるのではなく、すでにある情報や人の知見を動画の題材に変える発想です。

今回取り上げた3社では、この2つの型のどちらかに寄せて企画を作っていました。他のBtoB企業にも同じ傾向があるかどうかは、この3社の事例だけでは分かりません。

自社の題材を選ぶ手順

自社に当てはめるときは、まずどちらの型から始めるかを決めます。

Fig自社の題材を選ぶ手順
  1. 01
    社内の資産を棚卸しする
    すでに読まれている記事、よく聞かれる質問をリストにする
  2. 02
    社外の人を呼べるか確認する
    取引先や業界の専門家に、対談出演を依頼できるか検討する
  3. 03
    最初の4本を仮決めする
    資産が多ければ記事の動画化、人脈があれば対談を優先する
  4. 04
    話す結論を先に決める
    1本ごとに、冒頭で何を言い切るかを決めておく

社内の資産がまだ少ない場合は、無理に記事の動画化から始める必要はありません。社内の担当者が商談でよく聞かれる質問に答える形から始める方法もあります。

タイトルと企画で差がつくポイント

当社が制作に関わるIT人材系の企業チャンネルでは、企画の主語の選び方でも再生数に差が出ています。業界や会社の仕組みを主語にした問題提起の企画は、周辺の動画の10〜20倍再生されることがありました。BOXIL CHANNELが時事ネタや基礎用語の解説をテーマに選んでいるのも、同じように視聴者の疑問や業界の動きを主語にした企画です。

タイトルの長さも関わります。当社の制作現場では、長尺動画のタイトルを25〜30字以内に収めています。それより長いと、サムネイルの横で文字が切れてしまうためです。

出演者の見せ方も再生数に影響します。当社の制作現場では、演者の経歴や人柄が分かる回のほうが、長尺動画の中で上位の再生になる傾向があります。対談企画でゲストを招く場合は、冒頭でゲストの経歴を簡単に紹介しておくと、視聴者が内容を判断する材料になります。

Fig当社の制作現場で確認できている傾向
10〜20倍
問題提起型の企画が、周辺動画に対して再生された倍率
25〜30字
長尺動画のタイトルの目安(サムネイルで切れない長さ)

始めるときの体制と費用の考え方

当社の標準プランは月額20万円(税別)で、撮影込み・長尺4本+ショート12本の月16本投稿です。社外ゲストを招く対談を企画に組み込みたい場合は、収録方法を個別にご相談ください。

当社の制作フローでは、月1回・4時間の撮影で長尺4本分をまとめて収録します。出演者が撮影のために空ける時間は月に半日です。編集とサムネイルの初稿は、撮影後およそ10日でお届けします。撮影は当社が自社で行い、貴社のオフィスまたは指定の場所に伺います。東京都以外での撮影は、交通費を別途お見積もりします。

ショート動画は長尺から切り抜いて制作するため、対談やインタビューの回を収録した月でも、ショートのための追加撮影は要りません。ゲストが話した印象的な一言を切り抜くだけで、長尺への入口になるショートを用意できます。

話す内容を社内で決められない場合は、企画・台本の作成を月額のオプションでお受けしています。BtoBの商材では、社内の担当者が商談で話している内容や、よく受ける質問がそのまま題材になるため、最初の数か月だけ台本を依頼し、型ができたら社内で用意する、という進め方もできます。費用の内訳はYouTube運用代行の費用内訳にまとめています。

企画の型を増やしたい場合は、BtoBのYouTube成功事例で紹介しているストーリー型・社員密着ショート型・比較型も参考になります。依頼先を選ぶときに確認する基準は、BtoB特化のYouTube運用代行の選び方にまとめました。

まとめ

BtoB企業がYouTubeで専門性を伝える工夫には、自社の記事資産を動画にする型と、社外のゲストと組む型があります。BOXIL CHANNELは前者、マネーフォワードとfreeeは後者の例です。自社に当てはめるときは、社内の資産と社外の人脈のどちらを先に棚卸しできるかで、最初の題材を決めます。

尺や投稿本数を変えた場合の費用感は、見積もりシミュレーションで確認できます。サービスの内容はYouTube制作代行のページにまとめています。