BtoB企業のYouTube活用で成果につながりやすいのは、製品紹介だけで終わらせず、担当者の人柄や判断の基準が伝わる企画です。当社が制作に関わる企業チャンネルでは、時事性のあるテーマや金額に触れたタイトルの動画が、他の動画の数倍から十数倍再生される傾向が確認できています。この記事では、公開されているBtoB企業のチャンネル事例と、当社の制作現場で観察した企画の型を合わせて紹介します。
検索結果の多くが答えていないこと
「BtoB YouTube 成功事例」で検索すると、登録者数や再生回数で企業チャンネルを並べたランキング記事が多く見つかります。ランキングは参考になりますが、自社が同じ結果を出せるかどうかは分かりません。登録者数の多さは、広告予算や会社の知名度にも左右されるからです。
この記事で扱うのは、ランキングではなく次の2点です。
- 公開されているチャンネルが、どういう企画の「型」を選んでいるか
- 同じ型の中で、どのタイトルや構成が実際に多く再生されたか
2点目は、当社が制作に関わっている企業チャンネルの実測にもとづきます。他社の数字ではなく、自社で確かめられる情報を基準にしています。
公開チャンネルに見る2つの型
今回取り上げたサイボウズとアクセンチュア・ジャパンの公開チャンネルは、製品の説明だけに終始せず、次のどちらかの型に寄せて企画をつくっています。
サイボウズのグループウェア「サイボウズ Office」の公式チャンネルは、「我が社のデジタル化ストーリー」という題のCMで、社員の情報共有に対する実感を物語として見せています。製品の機能一覧ではなく、担当者の実感が伝わる型です。
アクセンチュア・ジャパンの公式チャンネルは、ビジネスコンサルタントやAIアーキテクトなど、職種ごとの社員1人の1日に密着した短い動画を公開しています。1本が短いため視聴の負担が小さく、採用を検討している人が複数の職種を見比べやすい型です。
- 「我が社のデジタル化ストーリー」という題のCMで実感を物語として見せる
- 製品の機能一覧より担当者の実感が伝わる
- サイボウズのCMがこの型
- 職種ごとの社員1人の1日に密着する
- 1本が短く、複数の職種を見比べやすい
- アクセンチュア・ジャパンがこの型
- 「AとB、どちらが得か」を問いかける構成
- 当社の制作現場では公開後も長く検索から再生され続けた
- 2〜5分の短尺でも成立する
当社の制作現場で確認できているのは、3つ目の「比較・問いかけ型」です。次の章で、観察した再生の傾向を説明します。
当社の制作現場で観察した「伸びる型」
当社が制作に関わるIT人材系の企業チャンネルでは、企画の型によって再生数に大きな差が出ています。観察できた傾向は次のとおりです。
- 「2026年、〇〇が急に〇〇した理由」のように、西暦と対象者を入れて市況の変化を言い切る時事タイトルは、直近の中央値の6〜17倍再生された
- 時事テーマであれば、17分の対談形式でも直近の中央値の15倍を超えて再生された
- 業界の専門用語を、視聴者の給料やお金の話に言い換えたタイトルは、再生が約7倍になった
- 同じ社員インタビューの素材でも、主語を会社の自慢ではなく「視聴者の困りごとを助けた話」にした回は約6倍再生された
- 「AとB、どっちが稼げる?」のような比較の型は、公開後も長く再生され続ける検索の入口になった
ショート動画がチャンネル全体の再生の約9割を占め、長尺動画への入口になっている点も確認できています。一方で、長尺動画の高評価率はショートの10倍以上あり、内容そのものはショートより長尺のほうが評価されています。短い動画で興味を持ってもらい、長尺で判断材料を伝える、という役割分担です。
当社が手がけた匿名の活用事例
クライアントの社名は公開していませんが、当社が制作に関わった事例の傾向は次のとおりです。
- SES(IT人材)企業のチャンネルを4社同時進行で制作しました。同じ業界でも、各社の強みが違うポジショニングでチャンネルを立ち上げています
- 採用支援企業の発信チャンネルを月4本ペースで制作し、長尺とショートを組み合わせました。このチャンネルは、商談時の信頼材料としても使われています
- 人材紹介企業の採用ブランディングとして、第一線で働く人の1日に密着するキャリア密着ドキュメンタリー番組への出演を制作しました。企画・撮影・編集・サムネイルまで一括で担当しています
いずれも、初回の撮影から約1週間で投稿を始めています。撮影や編集の体制が整っていれば、企画が決まってから公開までの期間は長くかかりません。
これらの事例に共通するのは、1本の動画で完結させず、複数本を通して会社の強みや担当者の人柄を伝えている点です。SES企業4社の例では、同じ業界でも各社の強みが違うポジショニングでチャンネルを立ち上げており、他社の動画を真似るよりも、自社の強みを先に決めてから企画を組み立てるほうが、毎月の題材選びに迷いにくくなります。
BtoB企業がYouTubeを始めるときに決める3つのこと
公開チャンネルの型と当社の実測を踏まえると、始める前に決めておくことは3つです。
- 01誰が出演するか社長・営業・エンジニアなど、継続して出演できる人を決める
- 02最初の企画をどちらの型にするかストーリー型・密着ショート型・比較型のどれから始めるかを決める
- 03社内でどこまで用意できるか題材と話す内容を社内で決められるか、企画・台本から依頼するかを決める
出演する人は、1人に固定する必要はありません。当社の制作現場では、演者の経歴や人柄が分かる回のほうが長尺の中で上位の再生になる傾向があるため、複数の社員が交代で出演し、それぞれの経歴を見せる構成も選べます。
企画の型は、最初から1つに絞らず、ストーリー型と比較型を両方試して、どちらが自社の視聴者に合うかを確かめる進め方もできます。
社内でどこまで用意できるかは、費用にも関わります。企画・台本を依頼する場合、当社では月額のオプションとして受けています。YouTube運用代行の費用内訳に、工程ごとの単価をまとめています。
撮影の頻度と費用の考え方
複数の企画を並行して試すには、まとめて撮影する体制が向いています。当社の制作フローでは、月1回・4時間の撮影で長尺4本分をまとめて収録しており、出演者の負担は月に半日です。ショート動画は長尺から切り抜いて作るため、ショートのための追加撮影は不要です。
尺の長さによって編集にかかる手間も変わります。長尺動画の尺や月額プランの単価については、YouTube動画制作の相場にまとめています。撮影だけを単発で依頼したい場合は、YouTube撮影代行とはで依頼できる範囲を確認してください。
まとめ
BtoB企業のYouTube活用で成果につながりやすいのは、製品紹介だけで終わる企画ではなく、ストーリー型・社員密着ショート型・比較・問いかけ型のいずれかに寄せた企画です。当社の制作現場では、時事性のあるタイトルや、専門用語を金額の話に言い換えたタイトルで、再生が数倍から十数倍になる傾向を確認しています。
始める前に、出演する人・最初の企画の型・社内で用意できる範囲の3つを決めておくと、企画が決まってから公開までの期間を短くできます。自社の投稿本数や撮影回数を変えた場合の費用感は、見積もりシミュレーションで確認できます。サービスの内容はYouTube制作代行のページにまとめています。