企業がYouTubeマーケティングを始めるときに最初に詰まるのは、動画の企画そのものではなく、社内で先に決めておくべき事項です。目的とKPI、実行体制、予算の3つを順番に固めておくと、公開後に運用が止まりにくくなります。この記事では、企業がYouTubeマーケティングを始めるときの社内の決め事を、手順として説明します。

動画の種類ごとの企画の立て方や、検討フェーズ別の役割分担は、別の記事で詳しく扱っています。この記事では、動画を作り始める前に社内で固めておく意思決定の順番に絞って説明します。

企業のYouTubeマーケティングは5つの手順で決める

動画の企画に入る前に、次の5つを順番に決めておくと、公開後に「誰が判断するのか」「予算は誰が出すのか」で止まることが減ります。

Fig企業がYouTubeマーケティングを始める5つの手順
  1. 01
    目的とKPIを経営層とすり合わせる
    再生数ではなく事業の指標に紐づける
  2. 02
    社内の実行体制を決める
    責任者と確認フローを先に決める
  3. 03
    内製か外注かで予算を決める
    相場と自社の人件費を比べる
  4. 04
    小さく始めて運用を止めない体制にする
    撮影頻度と本数を無理のない範囲にする
  5. 05
    効果検証の指標を決める
    再生数以外の数字で判断する

以下、1つずつ説明します。

手順1: 目的とKPIを経営層とすり合わせる

YouTubeマーケティングの目的は、リード獲得、商談化の後押し、採用やブランディングなど複数あります。どれを最優先にするかを、現場だけで決めずに経営層とすり合わせておきます。経営層が見る指標が再生数ではない場合、現場が再生数を目標に動いても評価がかみ合いません。

目的を事業の指標に紐づける具体例として、当社が制作に関わる採用支援企業のケースを紹介します。この企業の発信チャンネルは、長尺とショートを組み合わせて月4本ペースで制作しており、チャンネルは商談時の信頼材料としても使われています。

目的とKPIが決まったら、どの段階の視聴者に向けた動画を優先するかを割り振ります。検討フェーズ別の役割分担の決め方は、BtoB企業のYouTubeチャンネル開設手順にまとめています。

手順2: 社内の実行体制を決める

目的が決まったら、誰が制作に関わり、誰が公開を判断するかを決めます。担当部署だけで進めると、広報や事業部長の確認が後から入り、公開のスケジュールが遅れがちになります。

体制を先に決めておく重要性は、複数のチャンネルを同時に進める場合に特に表れます。当社では、SES(IT人材)企業のチャンネルを4社同時進行で制作した実績があります。4社とも、各社の強みが違うポジショニングで立ち上げています。複数のチャンネルを同時に進める場合は、撮影日・内容の確認担当・公開の最終判断者を先に決めておくことを勧めます。体制が決まっていないままチャンネル数や本数を増やすと、確認が追いつかなくなります。

社内の体制を決める段階で、企画・台本を社内で用意できるか、依頼する必要があるかも合わせて決めておきます。社内の担当者が商談やよくある質問で話している内容は、そのまま題材に使える場合があります。

手順3: 内製か外注かで予算を決める

体制の方向性が決まったら、内製するか外注するかで予算を決めます。判断の目安になるのが、制作会社の費用相場です。当社が聞き取っている範囲では、一般的な制作会社の相場は月30〜50万円です。

当社の標準プランは、月額20万円(税別)で、内訳は次のとおりです。

工程内容小計
撮影月1回・4時間まで40,000円
長尺動画の編集20分以内 × 4本120,000円
ショート動画の制作12本30,000円
サムネイルの制作4枚10,000円
合計月16本の投稿200,000円

東京都以外での撮影は、交通費を別途お見積もりします。

当社の標準プランは、相場の約半額にあたります。撮影が含まれるか、月に何本の投稿が含まれるかは会社によって条件が異なるため、相場と比べるときは総額だけでなく内訳の条件もそろえます。工程ごとの単価と、本数を変えた場合の概算は、YouTube運用代行の費用内訳にまとめています。

内製する場合は、担当者が1本の制作にかける時間と人件費を実測し、外注の見積もりと同じ単位で比べます。撮影だけ、編集だけを依頼したい場合もありますが、単価が変わるため個別の相談になります。

外注先を検討する場合に確認しておきたい基準は、BtoB特化のYouTube運用代行の選び方にまとめています。

手順4: 小さく始めて運用を止めない体制にする

予算が決まったら、最初から大きな本数を目指さず、無理のない頻度で始めます。撮影の頻度を上げすぎると、出演する社員の負担が増え、運用が続かなくなる原因になります。

当社の制作フローでは、月1回・4時間の撮影で長尺4本分をまとめて収録します。出演者が撮影のために空ける時間は、月に半日です。編集とサムネイルの初稿は、撮影後およそ10日で届けます。

Fig当社の制作体制の例
月に半日
月1回・4時間の撮影で出演者が空ける時間
約10日
撮影後、編集とサムネイルの初稿が届くまで

本数は固定ではなく、長尺4本・6本・8本、撮影月1回・2回の範囲で選べます。最初から本数を増やすのではなく、長尺4本で始めて投稿が定着してから増やす進め方のほうが、社内の確認体制への負荷が小さく済みます。

手順5: 効果検証の指標を決める

運用を始めたら、再生数以外の指標で効果を確認します。手順1で決めた目的に応じて、問い合わせ数、商談化率、応募数などを見ます。再生数だけを追うと、目的に対してチャンネルが機能しているかどうかが判断できません。

動画を商談やメールなど他の接点に転用する場合は、転用先ごとにURLを分けておくと、どの接点からの反応が多いかを後から確認できます。公開した動画を他の接点で使い続ける手順は、YouTube BtoBマーケティングの進め方にまとめています。

効果検証の結果、目的に対してチャンネルが機能していないと分かった場合は、本数を増やす前に、手順1で決めた目的とKPIに立ち返って見直します。

まとめ

企業がYouTubeマーケティングを始める手順は、目的とKPIを経営層とすり合わせる、社内の実行体制を決める、内製か外注かで予算を決める、小さく始めて運用を止めない体制にする、効果検証の指標を決める、の5つです。動画の企画に入る前にこの5つを決めておくと、公開後に意思決定で止まることが減ります。

自社の投稿本数や撮影回数を変えた場合の概算は、見積もりシミュレーションで確認できます。サービスの内容はYouTube制作代行のページにまとめています。