YouTube運用代行は、依頼の仕方によって失敗が起きやすくなります。方向性を確認しないまま丸投げにする、企画を任せきりで要望を伝えない、撮影の準備が整っていない、契約前に条件を確認しない、という進め方があると、依頼先の技術力とは別にズレが起きます。
この記事では、BtoB・高単価商材を扱う企業が陥りやすい依頼の共通点を整理します。社内で運用する場合に起きやすい失敗は、企業YouTubeが失敗する理由|始める前に防ぐ4つの手順で解説しています。外注する場合は、これに加えて依頼の仕方が失敗の共通点になります。
検討期間が長いBtoB商材ほど、1本の動画が商談で使われる期間も長くなります。公開後に作り直すとなると、修正にかかる時間がそのまま機会損失になります。依頼の初期段階で防げる失敗は、できるだけ早い段階で手当てしておく価値があります。
依頼の仕方によっても失敗が起きる
依頼先を比較するとき、実績や料金表に目が向きがちです。しかし依頼前のすり合わせを省略すると、契約後に次のようなズレが起きます。共通点は次の4つです。
| 失敗の共通点 | 起きること |
|---|---|
| 方向性を確認せずに任せる | 初稿で初めて食い違いに気づく |
| 企画の主導権を渡しきる | 無難な内容にまとまり、自社の強みが伝わらない動画になる |
| 撮影の準備が整っていない | 素材の質が下がり、撮影できる本数が計画より減る |
| 契約条件を事前に確認しない | 修正や解約の場面で想定外の費用や制約が発生する |
次の章から、それぞれの共通点が起きる理由と、防ぐための手順を説明します。どの共通点も、依頼先を決めたあとではなく、依頼先を選ぶ段階で確認できる内容です。
丸投げで起きる3つのズレ
「全部お任せします」という依頼は、担当者の手間を減らせます。一方で、依頼先が貴社の事業や商材を理解する前に動画が形になるため、方向性のズレが起きやすくなります。依頼前のすり合わせを省略すると、次の3つのズレが起きやすくなります。
- 動画のトーンが、貴社が社内で使っている言葉遣いと合わない
- 伝えたい専門性より、一般的な説明にとどまる
- 修正したい点を、具体的な言葉で伝えられない
このズレを防ぐ方法は、依頼後ではなく依頼前にすり合わせることです。
- 方向性の確認を初稿で初めて行う
- 台本や企画を依頼先の判断だけで決める
- 修正の希望を具体的に伝えられない
- 依頼前に目的と避けたい表現をすり合わせる
- 企画案を台本の前に確認する
- 初稿への修正点を具体的な言葉で伝える
すり合わせ型にするために、特別な準備は要りません。話したい題材と、避けたい表現を依頼前にリスト化しておくだけで、初稿の修正回数を減らせます。社内の決裁者が複数いる場合は、誰の確認を経て依頼先に伝えるかも、依頼前に決めておくと、初稿段階での手戻りを防げます。
企画を任せきりにすると、動画が「無難すぎる内容」になる
企画を任せきりにする場合、逆方向の失敗も起きます。依頼先が無難な内容でまとめた結果、自社の強みが伝わらない動画になることです。当社が制作に関わるIT人材系の企業チャンネルの実測では、企画の立て方によって再生数に次のような差が出ました。
西暦と対象者を入れて市況の変化を言い切るタイトルは、3本とも直近の中央値の6〜17倍の再生になりました。業界の専門用語を視聴者の給料やお金の話に言い換えたタイトルは、約7倍です。同じ社員インタビューの素材でも、主語を会社の自慢から視聴者の困りごとを助けた話に変えた回は、約6倍再生されています。
企画を丸ごと任せる場合も、時事性・言い換え・視聴者視点という3つの観点を依頼先と共有しておくと、無難な内容で終わりにくくなります。企画の決め方は、企業YouTubeの企画の決め方|ネタ切れを防ぐ4つの手順で詳しく説明しています。
BtoB商材の場合、専門性の高さが強みになる一方、説明が社内用語のままだと視聴者に伝わりません。企画の段階で、社内でしか通じない言葉をどう言い換えるかを依頼先とすり合わせておくと、無難な内容と専門用語だけの内容の両方を避けられます。
撮影の準備不足が、素材の質を落とす
依頼主側の準備不足も、失敗につながる共通点です。撮影をまとめて行う方式では、当日までに準備が終わっていないと、素材の質がそのまま下がります。
当社の制作フローでは、月1回・4時間の撮影で長尺4本分をまとめて収録します。出演者が撮影のために空ける時間は月に半日です。まとめ撮りで成果を出すには、次の3つを撮影日までに終えておく必要があります。
- 4本分の題材と話す順番を決めておく
- 服装を変える場合は、着替えを用意しておく
- 1本ごとに、冒頭で話す結論を決めておく
この準備を当日に持ち越すと、1回の撮影時間の中で考える時間が増え、収録できる本数が計画より減ります。4本分の準備が間に合わず2本しか撮れない、といった事態が起きると、次の撮影日まで投稿の間隔が空いてしまいます。
企画・台本の作成を依頼先に任せる場合、当社では月5万円(税別)のオプションとして用意しています。社内で用意できない場合は、最初からオプションに含めるかどうかを依頼前に決めておきます。準備を社内でするか依頼先に任せるかを撮影直前まで決めずにいると、どちらも中途半端な準備のまま撮影日を迎えることになります。
契約前に確認せず、あとから揉める3つの条件
次の3つは、依頼前に書面で確認します。
| 確認する条件 | 確認しないと起きること |
|---|---|
| 修正の回数と範囲 | 大きな修正が必要になったときに追加費用が発生する |
| 契約期間と解約の条件 | 成果が見えない段階で止めたくても、条件が分からない |
| 素材・チャンネルの引き継ぎ | 解約時に、撮影済みの素材やアカウントの扱いで揉める |
この3つの条件は、見積書の総額には現れません。契約書や利用規約を依頼前に確認します。契約期間の目安はYouTube運用代行の契約期間|最低期間の目安と確認する5項目に、解約時に確認する項目はYouTube運用代行の解約|確認する条件と引き継ぐ素材にまとめています。
契約期間が長いほど、途中で進め方のズレに気づいても止めにくくなります。最初の契約を短めにできるか、更新のタイミングで条件を見直せるかも、あわせて確認しておく項目です。
依頼先を選ぶときに見る4つの基準
ここまでの共通点を踏まえると、依頼先を選ぶ段階で確認すべき基準が見えてきます。
- 01企画のすり合わせ方法を聞く台本を作る前に、方向性を確認する機会があるか確かめる
- 02撮影の準備物を確認する題材・話す順番をいつまでに準備するか確認する
- 03修正と契約期間の条件を聞く修正の回数と、途中で止める場合の条件を確認する
- 04所有権の扱いを確認するチャンネルや素材の権利がどちらに残るかを確認する
この4つを依頼前のヒアリングで確認すると、丸投げによるズレと、契約後の想定外を同時に減らせます。曖昧な回答しか返ってこない依頼先は、契約後に同じ曖昧さが続く可能性があります。
いきなり長期契約を結ばず、最初の契約期間を短くできるかを確認する方法もあります。確認するのは、企画の提案が事前にすり合わせた方向性と合っているか、修正の依頼に理由を添えて具体的に対応してもらえるか、初稿が出るまでの期間が契約前に聞いていた日数と合っているか、の3点です。初稿までの期間は依頼先によって差があります。
当社の場合、編集とサムネイルの初稿は撮影後およそ10日で届けています。契約前に初稿までの日数を確認しておくと、以降の投稿計画が立てやすくなります。
まとめ
YouTube運用代行で失敗する依頼に共通するのは、丸投げ・企画任せ・準備不足・契約未確認という進め方です。依頼前に方向性をすり合わせ、撮影の準備物を決め、契約条件を書面で確認し、素材・チャンネルの引き継ぎ先を確認する、という4つを押さえておくと、契約後に想定外が起きにくくなります。
依頼範囲や本数を変えた場合の概算は、見積もりシミュレーションで確認できます。撮影込みの制作代行の内容は、YouTube制作代行のページにまとめています。