YouTube採用の成功事例として確かめられるのは、応募数やページ閲覧数が増えたという具体的な変化です。この記事では、公式発表と取材記事で数字が確認できる2社の事例と、当社の制作現場で見えてきた傾向を合わせて紹介します。自社のチャンネルを始めるときの手順と、費用の考え方もまとめました。

検索結果に多い「事例一覧」で分からないこと

「YouTube 採用 成功事例」で検索すると、事例を10社以上まとめて並べた記事が多く見つかります。社数が多い分、1社あたりの説明は数行にとどまり、どの数字がどの条件で出たものかが分かりにくい記事もあります。

この記事で扱うのは、次の2点です。

  1. 公式発表や取材記事で数字が確認できる事例を2社に絞って紹介する
  2. その事例から、自社の採用チャンネルを始める手順に落とし込む

採用担当者がこの記事を読む目的は、事例を知ることよりも、自社で同じ変化を起こせるかどうかの判断材料を得ることです。社数を増やして浅く並べるより、数字の出どころが分かる事例に絞って、企画の決め方まで踏み込みます。

応募・閲覧数が増えた2社の事例

株式会社yutori|採用エントリーが2.3倍に

アパレルブランドを複数展開する株式会社yutoriは、2024年1月から社員の日常や会議の裏側を見せる公式チャンネル「ゆとらない日々」を配信しています。2025年2月には、代表が著名人と対談する個人チャンネル「ゆとりくんチャンネル」も始めました。

YouTube運用を支援した株式会社アカツキメディアスタジオの発表(2026年4月8日)によると、2026年4月時点で「ゆとらない日々」の登録者数は2万人、「ゆとりくんチャンネル」の登録者数は約6.5万人です。同発表では、採用エントリー数が年間1,000件から2,291件へ約2.3倍に増え、採用倍率は926倍を記録したとしています。

三朋企業株式会社|応募と閲覧数が4〜5倍に

群馬県の高崎・前橋・伊勢崎に拠点を置く設備工事会社の三朋企業株式会社は、北関東で最大級のダクト工事実績を持ちながら、県内・県外での認知度が低いという課題を抱えていました。建設業の「きつい・危険・汚い」というイメージを払拭する目的で、映画の予告編のような採用ブランディング動画を制作し、YouTubeと自社ホームページで公開しました。

動画制作会社LOCUSのインタビューによると、動画からホームページを見て応募した学生が4〜5倍に増え、動画を掲載した時期からリクルートページとダクト工事のページの閲覧数も4〜5倍に増えました。女子学生からの応募も増えたと紹介されています。

Fig応募・閲覧数が増えた2社の工夫
株式会社yutori
  • 社員の日常や会議の裏側を見せる密着型
  • 代表個人チャンネルで対談も配信
  • 採用エントリーが年間1,000件→2,291件
三朋企業株式会社
  • 映画の予告編風の採用ブランディング動画
  • 3K(きつい・危険・汚い)イメージの払拭が目的
  • 応募・閲覧数ともに4〜5倍

2社の事例から言えること

今回取り上げた2社では、見せ方の方向性は異なります。yutoriは社員や代表の日常をありのままに見せる密着型で、三朋企業は演出を効かせた映像で興味を引く型です。どちらも、会社の実態や仕事の中身を、文章や写真よりも具体的に伝える手段としてYouTubeを使っています。

この2社だけでは、どちらの型が業界全体で効果が高いかまでは分かりません。自社に当てはめるときは、社内に密着できる社員がいるか、演出に時間をかけられるかで、どちらの型が合うかを判断します。

演出を効かせた映像は、企画と編集の準備工程が増えます。社内に動画制作の知見がない場合は、まず社員インタビューのような密着型から始めて、投稿を重ねながら演出を加えていく進め方もできます。

当社が採用目的のチャンネル制作で見えてきたこと

当社でも、採用を目的にしたチャンネルの制作に関わってきました。SES(IT人材)企業4社のチャンネルを同時進行で制作したときは、各社の強みが違うポジショニングで立ち上げ、初回撮影から約1週間で投稿を始めました。同業種でも、訴求する強みを変えることで複数社を同時に立ち上げられています。

採用支援企業の発信チャンネルは月4本ペースで、長尺とショートを組み合わせて制作しており、採用候補者への発信だけでなく、商談の場でも信頼材料として使われています。人材紹介企業の採用ブランディングでは、第一線で働く人の1日に密着するキャリア密着ドキュメンタリー番組への出演を、企画・撮影・編集・サムネイルまで一括で制作しました。採用目的のチャンネルであっても、候補者だけでなく取引先や既存社員が見る前提で企画を考えると、使い道の幅が広がります。

企画の中身にも傾向があります。当社の制作現場では、同じ社員インタビューの素材でも、主語を会社の自慢ではなく「視聴者の困りごとを助けた話」にした回のほうが約6倍再生されました。演者の経歴や人柄が分かる回も、長尺動画の中で上位の再生になっています。採用動画でも、応募を考えている人が知りたいのは会社の自慢よりも、働く人の実際の姿です。

Fig当社の制作現場で確認できている傾向
約6倍
社員インタビューの主語を視聴者目線に変えた回の再生倍率
約1週間
SES企業4社を同時立ち上げた際の初回撮影から投稿までの期間

自社の採用チャンネルを始める手順

2社の事例と当社の制作経験から、自社で始めるときの手順は次のとおりです。

Fig採用チャンネルを始める手順
  1. 01
    伝える方向性を決める
    社員の日常を見せる型か、演出で興味を引く型かを選ぶ
  2. 02
    密着する社員を選ぶ
    社歴や立場が異なる社員を、最初の4本分に割り振る
  3. 03
    話す結論を先に決める
    会社の自慢ではなく、視聴者の疑問や困りごとを主語にする
  4. 04
    タイトルを25〜30字に収める
    サムネイルの横で文字が切れない長さにする

密着する社員を選ぶときは、知名度や役職ではなく、経歴や人柄が伝わるかどうかを基準にします。企画の決め方は、企業YouTubeの企画の決め方でも手順をまとめています。チャンネルの立ち上げから運用までの流れは、法人のYouTubeチャンネル運用の始め方を参考にしてください。伸びる企画の型をさらに知りたい場合は、BtoBのYouTube成功事例も参考になります。

費用の考え方

採用目的のチャンネルも、制作にかかる費用の内訳は他の目的のチャンネルと変わりません。当社の月額プランの内訳では、撮影込みで長尺4本とショート12本、月16本の投稿がセットになっており、月額20万円(税別)です。一般的な制作会社の相場は月30〜50万円とされており、当社の標準プランは相場の約半額です。

話す内容を社内でまとめられない場合は、企画・台本の作成を月額5万円(税別)のオプションでお受けしています。採用目的の場合、人事担当者が候補者からよく受ける質問が、そのまま動画の題材になることが多いため、最初の数か月だけ台本を依頼し、型ができたら社内で用意する進め方もできます。

密着する社員の人数を増やしたい場合は、長尺の本数を4本から6本や8本に増やす選び方もできます。月額プランの本数や撮影回数は、内訳と同じ単価で増やせるため、採用ピークの時期だけ本数を増やす使い方も可能です。費用の内訳は、YouTube運用代行の費用内訳にまとめています。

まとめ

YouTube採用の成功事例として確認できるのは、株式会社yutoriの採用エントリー約2.3倍、三朋企業株式会社の応募・閲覧数4〜5倍という具体的な変化です。2社とも、会社の実態や仕事の中身を具体的に見せる点が共通しています。当社の制作現場では、視聴者の困りごとを主語にした企画や、演者の人柄が伝わる企画が再生を伸ばしています。

自社のチャンネルにかかる費用感は、見積もりシミュレーションで確認できます。サービスの内容はYouTube制作代行のページにまとめています。