新卒採用の密着動画は、公開している企業ごとに尺や企画の軸が大きく違います。1本で終わらせず、拠点や職種、同じ社員の数年後までシリーズ化している会社もあります。この記事では、新卒採用向けの密着動画を公開している3社の事例を、公開されている動画と制作会社の公表情報で確かめて紹介します。企画の型の違いを押さえたうえで、自社で密着動画を企画する手順と費用の考え方まで整理しました。

検索結果の多くが答えていないこと

「新卒採用 密着動画 事例」で検索すると、10社以上の動画を一覧で並べた記事が多く見つかります。社数が多い分、1社あたりの説明は数行にとどまり、企画の型の違いまでは分かりにくい記事もあります。

この記事で扱うのは、次の2点です。

  1. 公開されている動画と制作会社の公表情報で確かめた3社の事例から、密着動画の型の違いを整理する
  2. その型の違いから、自社の密着動画を企画する手順に落とし込む

採用担当者がこの記事を読む目的は、事例を知ることよりも、自社でどの型を選ぶかの判断材料を得ることです。社数を増やして浅く並べるより、公開されている動画と制作会社の公表情報で内容を確かめられる事例に絞って、企画の手順まで踏み込みます。

新卒採用の密着動画を公開している3社の事例

伊藤忠丸紅鉄鋼|海外拠点をシリーズ化

商社の伊藤忠丸紅鉄鋼は、新卒採用向けに海外拠点で働く社員の1日を追う密着動画をシリーズで公開しています。第1弾はタイ・バンコク、第2弾はアメリカ・シンシナティ、第3弾はドイツ・デュッセルドルフ、第4弾はベルギー・アントワープが舞台で、拠点ごとに社員1名の1日の流れを追いながらインタビューを挟む構成です。制作会社VIDWEBのコラムによると、各本の制作期間は2か月、尺は7分台でまとめられています。

京セラコミュニケーションシステム(KCCS)|2名の目線で疑似体験

KCCSは、新卒採用コンセプトムービー「a Day in The Life by KCCS」を公式YouTubeチャンネルで公開しています。システムエンジニアと通信エンジニア、2名の社員の目線でオフィスでの1日を描き、視聴する学生が入社後を疑似体験できる構成です。尺は1分30秒ほどで、伊藤忠丸紅鉄鋼のシリーズより短くまとめています。

ネオキャリア|同じ社員を数年後に追う続編

人材サービスのネオキャリアは、社長が発信するYouTubeチャンネルで社員の1日密着動画を継続的に配信しています。新入社員研修を終えた1年目社員の1日を追った動画を公開したあと、1年半後には同じ社員が入社3年目でチームリーダーに昇格した1日を追う続編を公開しました。1本で終わらせず、同じ社員の成長を時間差で追うシリーズ化が特徴です。

Fig3社の密着動画の型
伊藤忠丸紅鉄鋼
  • 海外拠点ごとにシリーズ化
  • 1本7分台でインタビューを挟む
  • 拠点ごとに社員1名に密着
KCCS
  • 1分30秒の短いコンセプトムービー
  • 2名の社員の目線で疑似体験させる
  • 新卒採用専用の企画
ネオキャリア
  • 同じ社員を数年後に再び追う
  • 研修を終えた1年目から3年目昇格までを継続配信
  • 1本で終わらせない構成

3社の事例から言えること

今回取り上げた3社では、密着動画の尺と企画の軸が異なります。伊藤忠丸紅鉄鋼は拠点という軸でシリーズ化し、KCCSは短い尺で疑似体験に絞り、ネオキャリアは同じ人物を時間差で追う軸でシリーズ化しています。この3社だけでは、どの型が応募数に最も効果があるかまでは分かりません。

共通しているのは、1本で終わらせず、シリーズとして複数本を公開している点です。最初の1本を単発で終わらせるより、拠点・職種・社歴などの軸を決めてから複数本を企画すると、学生が自分に近い回を選んで見られるようになります。

当社の制作現場で見えてきたこと

当社にも、人材紹介企業の採用ブランディングとして、第一線で働く人の1日に密着する形式のドキュメンタリー番組への出演を、企画・撮影・編集・サムネイルまで一括で制作した実績があります。密着動画は、1人の社員の仕事内容を説明するだけでなく、人柄や経歴が伝わる構成にすると反応が変わります。

当社が制作に関わるIT人材系の企業チャンネルの実測では、演者の経歴や人柄が分かる回は、長尺動画の中で上位の再生になりました。同じ社員インタビューの素材でも、主語を会社の自慢ではなく「視聴者の困りごとを助けた話」にした回は、約6倍の再生になっています。密着動画のコメントも、会社の制度紹介ではなく、本人が実際に悩んだことや工夫したことを主語にすると、同じ傾向が働く可能性があります。

Fig当社の制作現場で確認できている傾向
約6倍
社員インタビューの主語を視聴者目線に変えた回の再生倍率
月に半日
月1回4時間の撮影方式での出演者の負担

自社の密着動画を企画する手順

3社の事例と当社の制作経験から、自社で密着動画を企画するときの手順は次のとおりです。

Fig密着動画を企画する4つの手順
  1. 01
    シリーズ化の軸を決める
    拠点・職種・社歴のどれで複数本に分けるかを決める
  2. 02
    密着する社員を選ぶ
    経歴や人柄が伝わる社員を、軸ごとに1名ずつ選ぶ
  3. 03
    話す結論を先に決める
    会社の自慢ではなく、本人が悩んだことや工夫を主語にする
  4. 04
    尺と撮影方法を決める
    1日密着にするか、短時間の撮影を組み合わせるかを決める

密着する社員を選ぶ軸は、KCCSのように職種で分けることもできますし、伊藤忠丸紅鉄鋼のように拠点で分けることもできます。ネオキャリアのように同じ社員を数年後に追う続編は、1本目の社員が活躍し続けている前提が必要なため、最初の1本を公開したあとの企画として位置づけます。

密着動画の企画から配信までの具体的な手順は、新卒採用の密着動画|企画から配信までの5つの手順で詳しく説明しています。新卒採用全体での動画の使い方は、新卒採用YouTube活用の手順にまとめています。

撮影方法と費用の考え方

伊藤忠丸紅鉄鋼のように拠点を回って1日通しで密着する撮影は、拘束時間と編集ボリュームが大きくなります。当社の月額プランは、月1回・4時間の撮影で長尺4本分をまとめて収録する方式のため、出社から退勤までを通して撮影する企画は個別にご相談いただく形になります。

短時間の撮影を組み合わせる方式であれば、当社の月額プランの内訳と同じ考え方で見積もれます。金額はすべて概算(税別)です。

工程内容小計(概算・税別)
撮影月1回・4時間まで40,000円
長尺動画の編集20分以内 × 4本120,000円
ショート動画の制作12本30,000円
サムネイルの制作4枚10,000円
合計月16本の投稿200,000円

上記はいずれも概算(税別)で、正式な見積もりはヒアリング後にご提示します。一般的な制作会社の相場は月30〜50万円とされており、当社の月額プランは相場の約半額です。撮影だけ・編集だけのご依頼も、単価が変わるため個別にご相談ください。費用の内訳をさらに詳しく知りたい場合は、YouTube運用代行の費用内訳で工程ごとの考え方を説明しています。応募につながった事例はYouTube採用の成功事例でも紹介しています。

まとめ

新卒採用の密着動画は、伊藤忠丸紅鉄鋼の拠点別シリーズ、KCCSの短い疑似体験ムービー、ネオキャリアの続編シリーズと、企画の軸がそれぞれ異なります。自社で企画するときは、まずシリーズ化の軸を決め、経歴や人柄が伝わる社員を選び、話す結論を先に決めてから、尺と撮影方法を選びます。

撮影方法によって費用の考え方が変わるため、見積もり時には拘束時間と編集ボリュームを確認します。本数や撮影回数を変えた場合の概算は、見積もりシミュレーションで確認できます。サービスの内容はYouTube制作代行のページにまとめています。